令和3年年12月15日メッセージ(町長所信表明)
令和3年第4回広野町議会定例会 所信表明(原文のまま)
おはようございます。
本日、令和3年第4回広野町議会定例会を開催するに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
議員の皆さまには、ご多用の中ご出席をいただき、心より感謝申し上げます。この度の町長選挙において、3期目の当選を果たし、引き続き町政の舵取りを担わせていただくことになりました。その重責に身が引き締まる思いであります。
私は、これまで2期8年間、東日本大震災と原子力災害による非常に厳しい環境の中、町の復興・再生そして創生と町民の皆さまの幸せな帰町、生活再建に向けて、職員とともに全力で取り組んでまいりました。町民の皆さまにふるさと復興・創生の取り組みを評価いただいたものと受け止めております。
全ての町民の声に耳を傾け、全町民のため公明正大な町政運営を行い、町民主体のまちづくりを進め、次の世代へと引き渡せる町を創生すべく、全身全霊・全力で取り組んでいく決意でありますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
これまでの8年間を振り返りますと、私の使命は、世界に類を見ない地震・津波・原子力事故による複合災害から、帰還できる町を創っていくこと、町民の皆さまのご判断を頂き帰還の途を進めること、広野町の歴史・伝統・文化を守り育て将来に継承しながら、新しいまちづくりを進めていくことだという強い信念のもと、全力を尽くしてまいりました。「第二次広野町復興計画」や「第五次広野町町勢振興計画」を策定し、環境放射線モニタリング事業、町民バス・スクールバスの運行、JR利用運賃助成制度などを実施するとともに、広野駅東口広場の完成、Jヴィレッジの全面再開、海岸沿いの復旧・復興事業の竣工など、生活環境の回復を着実に進め、町民同士の絆の再生や情報発信に向けた各種イベントの開催などに積極的に取り組んできました。町民の皆さまの生活再建を下支えすべく、地域振興券、プレミアム付き商品券、電気・水道料等生活支援給付金により、30億円を超える経済波及効果を創出してきました。医療費一部負担金、介護保険の利用者負担、国民健康保険税・後期高齢者医療制度保険料・介護保険料の減免措置、高速道路の無料措置の継続について、旧緊急時避難準備区域であった南相馬市、田村市、川内村とともに、繰り返し国に要望を行い実現することができました。
町民の帰還は、現在90パーセントを超えております。町が、国、県、関係機関と連携を図りながら実施してきた取り組みを町民の皆さまにご理解をいただき、家族や近隣住民の方々とともに、ふるさとでの生活を前向きにご判断いただいたものと受け止めております。
3期目におきましては、復興・創生を成し遂げ「未来」へと発展させるため「医療福祉体制」、「安心安全」、「人材育成」、「持続可能な発展」、「情報化社会」を五つの柱に掲げ、将来にわたり町民の皆さまとともに広野町の誇りとなる事業を展開していきます。ふるさとへの熱い想いから、この歩みをさらに前進させ、いかなる困難に対しても正面から立ち向かい、未来へ発展するまちづくりを進め、私たちの愛する子どもたちの笑顔に満ちた明るい広野町を創り、復興・創生を成し遂げ町民主体のまちづくりに取り組んでまいります。
町内においては、避難していた町民の9割を超える方が帰還し、警戒区域から避難している方及び復興関連従事者を含めると、
約6,200人の方が生活をしています。復興の進捗として、産業では、広野駅東側にオフィスビルやホテルの進出を始め、広野IGCC発電所の操業、公設民営の商業施設「ひろのてらす」のオープン、町商工会会員の97パーセントが町内で活動を再開するなど、民の活力が戻ってきています。農業では、88パーセントの農家が町内で営農を再開し、とりわけ米作は、化学肥料及び化学合成農薬の使用を5割以上低減した特別栽培米コシヒカリをふるさと納税の返礼品とし、米の消費拡大を進めています。農地を守る取り組みとしては、平成30年度より町内7地区65.2ヘクタールの県営ほ場整備事業に取り組み、ほ場整備により区画の大型化を図り、担い手の経営規模拡大、効率的かつ安定的な農業経営を行う「人・農地プラン」の実質化や「農地中間管理事業」の活用、森林荒廃抑制や環境保全を目的としたふくしま森林再生事業に取り組んでいます。
さらに、福島イノベーション・コースト構想により新たな産業創出が見込まれることから、東町産業団地の整備に取り組んでいきます。それに伴う人流を見据え、広野駅東側に宅地整備を計画的に進め、移住・定住を促進してまいります。
エネルギー被災地から新エネルギー社会の実現に向けた、国・県の「カーボンニュートラル宣言」を踏まえ、火力発電所を有する町として、カーボンニュートラルに取り組み、新たな展望へ邁進してまいります。
町の将来を展望する中で、安心・安全な共生のまちづくりは必要不可欠であります。具体的な施策として、一つ目は医療・福祉の充実であります。平成31年1月、町、社会福祉協議会、町内の2医療機関による地域包括ケアシステム構築等に関する協定を締結し「福祉のまちづくり宣言」を行いました。本年4月、町内で唯一の特別養護老人ホーム花ぶさ苑を事業継承し、いわき市のときわ会グループを指定管理者として、公設民営の方式により運営を行っています。町独自の健康福祉手帳の作成や広野健康ポイント事業など、健康・長寿を意識した施策にも取り組んでおり、更なる推進を図っていきます。二つ目は教育の充実であります。認定こども園や小学校などから形成され、現在約1,000人の園児、児童、生徒が修学する「教育の丘」では、第二次広野町教育ビジョンに基づく教育活動を展開し、ふたば未来学園中高一貫校との連携を見据え、広野町立学校独自の魅力ある教育の創出に取り組んでいます。震災後、静岡県で活動を継続していたサッカーのJFAアカデミー福島男子が令和3年4月から町内での活動を再開しました。国は、復興の一環として浜通りに国際教育研究拠点を整備する方針であり、今後30~40年に渡り廃炉作業が続く中、必要な人材を地元で育成することは極めて重要であります。園小中、ふたば未来学園と高等学術教育機関と連携を図り、今後整備される国際教育研究拠点の更なる展望を国に提言しています。三つ目は共生であります。町内には居住若しくは一時滞在している方が約2,000人おります。住民と復興関連従事者の間には接点がなく、お互いに日常生活を送る上でトラブル等が起きることが懸念されます。行政として町民の暮らしを守るのは当然ですが、同時に、廃炉を着実に進めるためにも復興関連従事者の暮らしを守ることが求められます。既存の住民と復興関連従事者がともに支障なく生活できる環境を整えてまいります。
次に、財政運営についてでありますが、福島再生加速化交付金、復興特別交付税を始めとする国、県の様々な財政的支援により、本町の財政状況は健全な状況にあります。
第2期復興・創生期間に入りました。復興・創生が成し遂げられるまでには、国は財政支援を継続すべきと考えていますが、復興が進捗するにしたがって縮小していくことは明らかであります。中長期的な展望に立ち、歳出削減に努め、歳入規模に見合った財政運営を念頭に置き、計画的な予算執行に努めることで、健全財政を維持し、将来に渡って持続可能な自立した財政運営を行ってまいります。
最後になりますが、双葉地方が将来に渡り持続可能なまちづくりを成すためには、双葉郡8町村の広域的な連携により各町村が支え合っていく必要があります。本町は、福島第一・第二原子力発電所の廃炉や復興事業等の復興を支える人材を受け入れ、また、将来を担う人材育成に向けふたば未来学園が設置されたことを踏まえ、「双葉地方の復興を支える拠点」としての役割を果たしてまいります。
以上、3期目の町政運営に当たり、私の所信の一端を申し上げさせていただきました。
私は、復旧・復興に向け、全国からたくさんのご支援をいただいておりますが、そのご厚情に応えるためには、志や夢がなければ成功も実現もなく、復興・創生は成し得ないと考えております。「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし、故に、夢なき者に成功なし。」であります。私も自分自身に言い聞かせながら、3期目の職務に全力で取り組み、継往開来、海、山、川の美しい自然と歴史・風土・文化の薫るふるさとを守りながら、5,000人の町民が心一つに愛情豊かな町、町民の皆さまが誇りと思える「ふるさと広野町」を創り、次の世代、未来の子どもたちに託してまいります。
第2期復興・創生期間に入りましたが、当町の復興は道半ばであります。これまでも町民主体のまちづくりを進めてきましたが、今後においても、未だ避難をされている方を含め全ての町民との対話を大切にしながら、次の世代へと引き継げる町を創生していきます。広野町の復興・創生から、双葉地方さらには福島県全体を見据え、被災地が希望を感じることができる復興・創生を果たせるよう、全身全霊・全力で取り組んでまいります。
町を取り巻く環境は、依然として厳しい状況が続きます。議員の皆さまとしっかりと協議をしながら、復興・創生を成し遂げるべく、今後のまちづくりをともに進めていきたいと存じますので、引き続き、議員の皆さまのご理解とご協力を賜り、格別のご指導ご鞭撻の程、心よりお願い申し上げ、本議会招集と併せ、3期目の就任にあたってのご挨拶並びに所信表明といたします。
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