平成29年12月14日メッセージ(町長所信表明)

ページ番号1002107  更新日 2022年2月10日

印刷大きな文字で印刷

平成29年第4回広野町議会定例会 所信表明(原文のまま)

皆様、おはようございます。
本日ここに、平成29年第4回広野町議会定例会を開催するに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
議員の皆様におかれましては、公私ともご多用のところ、ご出席を賜りましたこと、心より厚く御礼申し上げます。
この度の広野町長選挙において、町民の皆様の信任をいただき、二期目の当選を果たし、引き続き町政の舵取り役を担わせていただくこととなりました。改めて今後4年間、町民の皆様の声に真摯に耳を傾け、全町民のため公明正大な町政運営を行い、復興・再生から創生へとさらに前進させ、町民主体の町づくりに向けて、全身全霊、粉骨砕身の覚悟で取り組んでいく決意でありますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

1期目の4年間を振り返りますと、私の使命は、世界に類を見ない地震・津波・原子力事故による複合災害から、帰還できる町をつくっていくこと、町民の皆様のご判断を頂き帰還の途を進めること、広野町の歴史・伝統・文化を守り育て将来に継承しながら、新しい町づくりを進めていくことだという信念のもと、全力を尽くしてまいりました。「第2次広野町復興計画」や「第5次広野町町勢振興計画」を策定し、除染や環境放射線モニタリング事業、町民バス・スクールバスの運行、JR利用運賃助成制度などを実施するとともに、広野駅東側開発整備事業や災害公営住宅整備事業、公設商業施設整備事業などにより生活環境の回復を着実に進め、町民同士の絆の再生や情報発信に向けた各種イベントの開催などに積極的に取り組んできました。町民の皆様の生活再建へ向けては、その下支えをすべく、地域振興券、プレミアム付商品券、電気・水道料等生活支援給付金により、30億円を超える経済波及効果を創出してきました。また、医療費一部負担金、介護保険の利用者負担、国民健康保険税・後期高齢者医療制度保険料・介護保険料の免除措置、高速道路の無料措置の継続について、本町が中心となり先頭に立って、繰り返し国に対し要望を行い実現することができました。
4年前、約25パーセントでありました町民の帰還は、現在約83パーセントとなりました。町が国、県、関係機関と連携を図りながら実施してきた取り組みを町民の皆様にご理解をいただき、家族や近隣住民の方々とともに、ふるさとでの生活を前向きに歩んでいくとご判断いただいたものと受け止めております。
2期目に際しましては、これまで取り組んできた町の「復興・再生」を、新しい広野町の「創生」へと進化させ、ふるさとの歴史・伝統・文化を継承しながら新しい時代のまちづくりを進め、「いのちを守り、人を活かし、未来をつくる町」の実現を目指していきます。
8割を超える町民の皆様が帰町したなかで、これまでの避難生活により心身の健康を崩された方や、被災により生活に要する経済的負担に不安を抱えている方が見受けられるとともに、約1000名の町民の皆様が町外で生活している厳しい現状にあります。長期間にわたる避難から生活を落ち着かせるためには一定の期間が必要であることから、医療費一部負担金、介護保険の利用者負担、国民健康保険税・後期高齢者医療制度保険料・介護保険料の免除措置、高速道路の無料措置の継続について国に対して強く訴えていきます。加えて、プレミアム付商品券の発行を32年度まで継続して取り組み、町民の皆様の経済的負担を軽減させ、生活再建を下支えしていく考えであります。

町民の皆様の生活再建を果たすためには、経済的な自立と生活の安定が不可欠であります。そのため、1期目における町政運営の5つの柱である「生活再建」・「安心」・「教育」・「発展」・「情報」を基本として、町民の皆様が、ふるさと広野町で安心して暮らしていけるよう『医』・『職』・『住』の充実を重視して、各種施策を進めてまいります。
『医』・『職』・『住』の『医』は、医療・福祉の『医』であり、『職』は職業、雇用の『職』であり、『住』は住まい、住環境の『住』であります。

まずは、『医』の充実でありますが、本町においては、心疾患、脳血管疾患の死亡率が国・県より高く、また医療費が著しく高い水準にあることから、生活習慣病の予防対策を強化するなど健康づくり施策を積極的に講じていきます。
また、町民の皆様が健康で安心して生活していくうえで、医療環境を充実・向上させることが重要であります。町は、地域の医療環境の向上を図るため、町内医療機関に対する支援事業に継続して取り組んでいきます。2次救急医療については、県や国に強く要望した結果、富岡消防署楢葉分署に県立医科大学の救急専門医が配置され、来年4月には、富岡町に県立ふたば医療センターが開院することとなっています。徐々に医療提供体制が整備されつつありますが、郡内で人工透析が受けられる医療機関がないため、町への帰還が困難であったり、町内生活者でも通院に不便を来している状況を踏まえ、郡内において透析が受けられる体制整備を国、県、関係機関に要望してまいります。地域医療の確保は、双葉地方全体の課題であることから、引き続き国、県、関係機関と連携を図りながら取り組んでいきます。
震災以前と比較しますと、高齢者、介護認定者がともに増加している現状にあります。特に高齢者のみの世帯が増加しておりますので、生活支援相談員や保健師等による訪問による生活状況の把握を強化していきます。町、社会福祉協議会、医療機関、介護事業者等が情報を共有し連携を図りながら、町民の皆様が健康寿命を延伸させ、住み慣れた地域で自分らしい暮らしが続けることができるよう、「地域包括ケア」の実現に向けて取り組み、「健康福祉のまち」を目指していきます。

次に、『職』の充実でありますが、産業、生業の再生・活性化を図っていきます。若者を中心とした定住人口の拡大を図るためは、新たな雇用創出が重要となります。広野工業団地と広野駅東側産業団地に加え、東町にある除染土壌等の仮置場を新たな産業団地として活用を検討していきます。福島第1原子力発電所の廃炉や広野火力発電所でのIGCC整備などに関する事業所、イノベーション・コースト構想に関連する企業や事業所の誘致を進め、積極的に新たな雇用の創出を図っていきます。
町全体の賑わい再生や活性化のためには、経済活動の中核を担う広野駅前を中心とした商店街の再生が不可欠であります。商店街、商工会の皆様など関係者との連携を強化し、空き店舗等の利活用や、商店街連携による賑わいを創出するイベント開催、暮れ市の復活などを商店街の皆様の自主性を後押しし、官民協同で合意形成を図りながら、町民の皆様が足を運びたくなるような新たな魅力を創出し、駅西側の再生・活性化を進めていきます。
駅東側の新たな産業・居住エリアや、広野駅前を中心とした商業エリア、未来学園を中心とした教育・子育てエリアなど、地域の個性を活かした再生・面的整備を進め、町全体の発展を展望していきます。
農業においては、町内7地区約65ヘクタールのほ場整備を通じて、担い手農業者への農地の集積・集約を進めていきます。また、二ツ沼総合公園のハウスを活用し新たな園芸作物の実証や、地場産品を活用した6次産業化を進め、魅力ある農業の推進に取り組んでいきます。近代農業ゾーンの在り方については、地権者の意向を踏まえながら、早急に検討を進めていきます。また、町の農業・農村を将来へと引き継いでいくため、「農業次世代人材育成奨学金貸付条例」を来年4月に施行し、農業後継者の確保・育成に積極的に取り組んでいきます。営農を再開し五年が経過いたしましたが、生産者が意欲を持って営農に取り組んでいただき、本町の農業が再生されるまで、福島県営農再開支援事業や福島県原子力被災12市町村農業者支援事業、風評対策、農地・農業用施設維持管理への支援等の継続及び柔軟な運用について、国、県に対して要望してまいります。
また、交流人口の拡大は、経済面のみならず、情報発信や雇用など幅広い分野に波及いたします。Jヴィレッジは震災前年間約50万人が来場し、日本サッカー界のみならず本町の活性化に大きく貢献し、地元にとってはまさに宝ともいうべき施設であります。Jヴィレッジの再開は、双葉郡や浜通り地方にとって、風評払拭や雇用創出、地域活性化に大いに寄与するものであり、復興のシンボル、起爆剤として大変期待しております。来訪者がJヴィレッジのみならず、地域を周遊していただけるよう、町内地域資源の磨き上げや復興スタディツーリズムとの連携など様々に検討して、交流人口を拡大し、町の活性化につなげてまいります。

次に、『住』の充実でありますが、今後、町民の皆様や郡内避難者、移住者に向けて新たな居住エリアとして、第2期整備事業において住宅用地の整備を進めていきます。
また、町民が安心して暮らせる住環境を整備していく上で、教育・子育て環境をしっかりと捉えていくという視点が非常に重要であります。教育・子育て環境が充実していることは、将来を担う子供たちや家族が将来にわたり町で生活していただけることに繋がるものであり、広野町が持続可能な自治体として成長していくため非常に重要な視点であります。広野小・中学校の教育内容を魅力あるものに充実発展させ、将来の広野町、双葉郡、そして福島県を背負う人材育成に努めていきます。平成31年4月には認定こども園と県立ふたば未来学園中学校・高等学校の新校舎が完成します。この地区を新たな教育・子育て拠点エリアとして、学校、家庭、地域、行政が一体となって、地域ぐるみで教育・子育てに取り組んでいく施策に積極的に取り組んでいきます。また、早稲田大学、東日本国際大学、福島工業高等専門学校の研究拠点を中心として、未来学園、広野小・中学校、地域の皆様と連携を図りながら、復興・再生から創生へと向かう地域の事業を創出していきます。
本町は、帰町した町民約4000人に加え、約3500人の復興事業従事者を受け入れており、ゴミの出し方や交通ルール違反、町税の滞納等の問題が生じております。今後も、町と警察署、復興関連企業、関係団体等で組織する「安心・安全ネットワーク会議」において、事業者に対する防犯や交通ルール遵守等について周知徹底を強化していきます。
一方で、復興事業従事者は被災地復興のためには大切な方々であり、町民との間において、顔の見える関係性の構築が必要となっております。イベントや地域の行事・まつりへの参加を呼びかけ、人と人との繋がり、人と地域の繋がりを育て、新たな共生社会の創出に取り組んでまいります。

次に、財政運営についてでありますが、復興特別交付税をはじめとする国、県の様々な財政的支援や広野火力発電所6号機の運転開始による固定資産税の増収などにより、本町の財政状況は健全な状況にあります。
復興・創生が成し遂げられるまでには、国は財政支援を継続すべきと考えていますが、復興が進捗するにしたがって縮小していくことは明らかでありますので、中長期的な展望に立ち、歳出削減に努めていきます。歳入規模に見合った財政運営を念頭に置き、計画的な予算執行に努めることで、健全財政を維持し、将来にわたって持続可能な自立した財政運営を行ってまいります。

最後になりますが、双葉地方が将来にわたり持続可能なまちづくりを成すためには、双葉郡8町村の広域的な連携により各町村が支え合っていく必要があります。本町は、福島第1原子力発電所の廃炉や復旧・復興事業従事者等の復興を支える人材を受け入れ、また、将来を担う人材育成に向けふたば未来学園が設置されたことを踏まえ、「双葉地方の復興を支える拠点」としての役割を果たしてまいります。

以上、2期目の町政運営に当たり、私の所信の一端を申し述べさせていただきました。
私は、町長選を通し、「日本一元気な町づくり」に邁進していくと申してきました。復興に向け、全国からたくさんのご支援いただいておりますが、そのご厚情に応えるためには、志や夢がなければ成功も実現もなく、復興・創生は成し得ないと考えております。私はこのことを2期目の初登庁に際し職員に対しても申し述べました。「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし」であります。私も自分自身に言い聞かせながら、二期目の職務に全力で取り組み、継往開来、ふるさとの歴史・伝統・文化を守りながら、5000人の町民が心一つに愛情豊かな町、町民の皆様が誇りと思える「ふるさと広野町」を創り、次の世代、未来の子どもたちに託してまいります。
国の復興・創生期間が終わるまで3年3か月余りとなりました。町の復興・再生と町民の生活再建をさらに前進させ、新しいまちづくりをどこまで進めることができるか、まさに今が正念場であります。日々、環境が変化している中で、議員の皆様としっかりと協議をしながら、復興・創生を成し遂げるべく、今後のまちづくりを共に進めていきたいと存じますので、引き続き、議員の皆様のご理解とご協力を賜り、格別のご指導ご鞭撻の程、心よりお願い申し上げ、本議会招集と併せ、2期目の就任にあたってのご挨拶並びに所信表明といたします。

広野町長 遠藤 智

このページに関するお問い合わせ

広野町役場 総務課
〒979-0402 福島県双葉郡広野町大字下北迫字苗代替35番地
電話:0240-27-2111 ファクス:0240-27-4167
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。