平成30年3月8日メッセージ(町長所信表明)

ページ番号1002108  更新日 2022年2月10日

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平成30年第1回広野町議会定例会 所信表明(原文のまま)

本日ここに、平成三十年第一回広野町議会定例会が開催されるにあたり、ご審議をいただきます諸議案の説明に先立ち、平成三十年度の町政運営に対する基本方針について、所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ町民の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
本町は、昨年、平成二十九年を“ふる里復興・再生「前進の年」”と位置付け、広野駅東側と西側を結ぶこ線人道橋「未来のかけ橋」や県道広野・小高線に接続する町道下浅見川線、町道高萩・田中線が全線開通し、復興の拠点としての環境整備が整いつつあります。そのような中、ふる里復興・再生に向けて継続実施している“童謡のまちづくり”が、町民の皆様のふる里を想う心を醸成したとして、日本童謡協会の童謡文化賞を受賞いたしました。本町は、童謡「とんぼのめがね」が生まれ、唱歌「汽車」の舞台でもあることから童謡文化の継承に努めてきたことが評価されたもので、町の歴史に大きな喜びと誇りを刻みました。
また、地域住民同士の絆の再生や交流人口の拡大を図るため、町の四大イベントであるサマーフェスティバル、童謡まつり、秋まつり、ふる里ふれあいマラソンのほか、震災後初となる集団対抗パークゴルフ大会を開催いたしました。さらに、教育環境、子育て環境を充実させ、将来を担う子どもたちをしっかりと育成するため、早稲田大学、東日本国際大学、福島工業高等専門学校の三つの高等教育機関の研究拠点を誘致いたしました。研究拠点を中心として、ふたば未来学園高等学校、広野小・中学校、地域の皆様と連携を図りながら、復興・再生から創生へと向かう事業を創出していきたいと考えております。十一月には、平成三十一年四月の開校を目指し、「福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校」の新校舎の起工式が行われ、本格的な整備に着手するなど、未来へつながる事業がスタートした一年でありました。
私は、これまで取り組んできた町の復興・再生を、新しい広野町の「創生」へと進化させ、ふるさとの歴史・伝統・文化を継承しながら新しいまちづくりを進め、「いのちを守り、人を活かし、未来をつくる町」を標榜し、本年を“ふる里復興・創生「邁進の年」”と位置付け、“日本一元気な町づくり”を目標に掲げて着実に力強く前進させていきます。
八割を超える町民の皆様が帰還したなかで、これまでの避難生活により心身の健康を崩された方や、被災により生活に要する経済的負担に不安を抱えている方が見受けられるとともに、約八百二十人の町民の皆様が町外で生活している厳しい現状にあります。長期間にわたる避難から生活を落ち着かせるためには一定の期間が必要であります。これまで繰り返し様々な機会を通して国に対して強く要望してきた結果、医療費一部負担金、介護保険の利用者負担、国民健康保険税・後期高齢者医療制度保険料・介護保険料の免除措置については一年間延長、高速道路の無料措置については二年間延長されることが決定いたしましたが、引き続き、その継続について国に対して強く訴えていきます。加えて、プレミアム付商品券の発行を平成三十二年度まで継続して取り組み、町民の皆様の経済的負担を軽減させ、生活再建を下支えしていく考えであります。
町民の皆様の生活再建を果たすためには、経済的な自立と生活の安定が不可欠であります。そのため、町民の皆様が、ふるさと広野町で安心して暮らしていけるよう『医』・『職』・『住』の充実を重視して、各種施策を進めていきます。『医』・『職』・『住』の『医』は、医療・福祉の『医』であり、『職』は職業、雇用の『職』であり、『住』は住まい、住環境の『住』であります。
それではこの三つの重点事業を中心に、施策の大綱を申し上げます。
はじめに、『医』の充実についての事業であります。
保健事業の推進につきましては、本町においては、心疾患、脳血管疾患の死亡率が国・県より高く、生活習慣病の予防が重要な課題となっております。また、これまでの避難生活により、生活習慣病の発症や身体機能の低下、閉じこもり、心の病などの心身の健康状態の悪化も懸念され、健康支援活動を継続していく必要があります。このことから、福島県をはじめ、県内外の有識者、関係機関の指導・助言をいただきながら、「広野町健康づくり計画」に沿って、栄養、運動、心の健康等の健康づくりに取り組みます。
町民の健康管理につきましては、保健師、栄養士等専門職員による家庭訪問を実施し、心身の健康状態の把握と保健指導を行います。併せて専門職による運動教室、料理教室等を開催し、健康の保持増進に努めます。特に、各家庭での減塩対策を進めるため塩分濃度計を貸し出し、食生活改善推進協議会と連携して減塩の普及推進に努めます。また、総合検診の健康診査において、尿中塩分量測定を実施し、適正な塩分摂取量を啓発します。さらに、県内外の有識者による講演会や健康まつり等の啓発活動をとおして、健康意識の高揚を図るとともに、特定健康診査データ等を保健事業に反映させ、町民の健康寿命の延伸に努めます。健康診査、各種がん検診を実施し、生活習慣病の予防、疾病の早期発見・早期治療を目指すとともに、特定健診未受診者に対しては、受診勧奨を行います。各種予防接種事業、人間ドック・脳ドック検診費用助成を引き続き実施いたします。
町内の医療体制につきましては、医療環境の充実向上を図ることを目的とした医療環境向上推進事業を継続し、休診日等の当番制による診療体制を整え、また救急患者の受け入れにつきましても医療機関に対する支援を継続するとともに、町民が安心して生活できるよう、町内医療機関と連携を図っていきます。
国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険における保険税・保険料及び一部負担金につきましては、上位所得層を除く被保険者は引き続き免除されることとなり、保険税・保険料につきましては平成三十一年三月分まで、一部負担金につきましては平成三十一年二月二十八日まで免除期間が延長されます。
本町の医療費は、著しく高い水準にあります。特定健康診査の受診率向上、医療費適正化の推進、健康づくり意識の啓発、医療費分析の結果を活用した保健事業等に取り組み、各医療制度の事業運営の安定化に努めたいと考えております。
高齢者福祉につきましては、町、社会福祉協議会、医療機関、介護事業者等が情報を共有し、連携を図りながら、町民の皆様の健康寿命を延伸させるとともに、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう「地域包括ケア」の実現に向けて取り組みます。帰還されたご自宅において、健康で生きがいを持って安心して暮らすことができるよう、関係機関と連携し、外出支援サービス事業、軽度生活援助サービス事業等、様々な福祉サービス事業を継続し、ひとり暮らし高齢者や高齢者世帯の生活支援の充実を図ります。
障がい者福祉につきましては、障害者が自立した生活を送ることができるよう、障がい者自立支援給付事業や地域生活支援事業をとおして、日常生活を支援するとともに、各種障がい福祉サービスや相談業務の充実に努めます。また、帰還された障がいをお持ちの方で、公共交通機関の利用が困難な場合や福祉事業所の送迎を受けられない方のために通所事業所までの移動支援を引き続き継続いたします。
介護保険事業につきましては、超高齢社会を迎え、健康寿命の確保に向け平成二十八年度から「いきいき百歳体操」を実施しております。平成三十年度においても実施箇所を増やし、地域住民が自主的に活動できるよう、サポート体制を整えます。必要な方に必要なサービスが適切に提供できるように努めながら、介護予防の強化に向けた取組を継続いたします。
放射線健康管理事業につきましては、本町における放射線量は、除染等により低減しているものの、町民はいまだ健康不安を抱えている状況にあります。引き続き、ホールボディカウンターによる内部被ばく検査に加え、小学生・中学生を対象としたDシャトル線量計による日常生活で受ける放射線量の測定、放射線健康管理アドバイザーによる講演会と少人数による相談会を実施し、放射線による健康不安の軽減に努めます。
大学の教授ら外部有識者による広野町放射線健康対策委員会は、引き続き委員会活動を継続し、町民の放射性物質による健康影響等について、専門家からの適切な指導助言をいただきながら放射線健康対策に取り組みます。また、町民の放射線に対する不安や疑問にお応えするため設置した広野町放射線相談室は、さらに内容の充実に努め、町民が抱く放射線に関する各種不安について、きめ細やかな対応となるよう努めます。
次に、『職』の充実についての事業であります。
雇用の創出につきましては、広野駅東側開発地区や広野工業団地への新規企業の誘致を進めるとともに、新たに除染廃棄物等の仮置き場として土地利用を図っていた広野工業団地隣接地及び東町地区仮置場を産業団地としての再整備を行い、積極的な企業誘致を推進いたします。なお、広野火力発電所内の石炭ガス化複合発電(IGCC)は、本年四月に本格着工し、地元雇用の拡大が大いに期待されます。
イノベーション・コースト構想の推進につきましては、本町は、双葉地方における廃炉等の研究開発拠点のバックオフィス的役割を果たし、広野町以北の復興を促進すべく、取り組んでおります。そのような中、本構想の具体化を推進するために必要な体制を充実する観点から、より速く効率的に構想を実現するために、行政だけでなく、産業界、学界の参画のもと、産学官で目標を共有し、浜通り地域の現状、課題を整理し、今後の浜通りにおける産業が目指していく方向性と、その実現に向けて必要となる実施体制、情報発信のあり方や交流人口の拡大を含む取り組みを進めていきます。
被災地域テレワーク推進事業の導入につきましては、地域住民が柔軟な働き方のできる雇用環境、特に子育て世代の就労機会の拡大を図り、若者の定住拡大につなげることを目的として、平成二十九年度に、ふくしま未来テレワーク「おらげ」を立ち上げました。今後も、更に内容の充実を図り、目的達成に向け、最善を尽くしていきます。
農業におきましては、営農再開六年目となる平成三十年度産米の作付けについて、福島県より作付面積の目安として百六十七ヘクタールと示されました。平成三十年度営農を行う農家に対しては、国の経営所得安定対策を活用していただき、農業経営の安定化を図ります。併せて、本町は、ふるさと応援寄附金に寄附していただいた納税者に特別栽培米をお礼の品として贈る取り組みをとおし、生産農家への支援と広野町産米のPRをしていきます。
また、担い手農家への農地の集約を目指し、ほ場の環境整備を図るため、町内七地区のほ場整備事業の年内着手に向け関係機関と連携し取り組みます。
農業後継者の確保・育成に向けた取り組みとして、「広野町農業次世代人材育成奨学資金条例」を設け、町の農業振興と農業後継者を確保するためその修学に必要な資金を貸し付けし、農業経営の安定と優れた農業担い手の確保を目指します。
次に、『住』の充実についての事業であります。
「広野町まち・ひと・しごと創生総合戦略」の取り組みにつきましては、本町は、「第五次広野町町勢振興計画」及び「第二次国土利用計画」を策定いたしました。これらの計画で示している基本理念や将来像と方向性が、総合戦略で目指すまちづくりと一致していることから、広野町総合戦略を町勢振興計画の、特に若い世代における移住・定住促進、新たな人の流れ、まちづくり、産業分野の戦略的ビジョンとして位置付け、広野スタイル創出事業等に取り組みます。また、総合戦略で示す、まち・ひと・しごと創生を実現するため、より効果的・効率的に取り組みを進めるとともに、その効果を検証していきます。
復興関連事業の継続につきましては、「広野町復興計画」に掲げる基本理念・目的を達成するため、シンボル事業として位置付けている広野駅東側開発の整備を進め、諸施策を確実に実施いたします。また、復興関連事業をはじめとした、まちづくり施策の実施につきましては、福島再生加速化交付金をはじめとした国・県補助金等の財源確保に努め、町独自財源の負担を少なくする財政運営に努めます。
特に復興拠点として整備している駅東側につきましては、東口広場整備も完了したことから、第二期開発地で計画している住宅地整備を、民間事業者との連携も模索しながら早期完成を目指し、進めていきます。
駅西側広場整備につきましては、現在までJRをはじめ、関係機関と協議を進めているところですが、現有トイレがプライバシー確保やバリアフリーの面で著しく劣っており、早急な整備が求められております。このことから、トイレ再整備を先行して行い、誰もが安心・安全に利用できる環境を構築します。
Jヴィレッジ新駅設置につきましては、Jヴィレッジは福島県復興のシンボルであり、双葉地方の復興に大いに寄与するものであります。Jヴィレッジを中核とした地域全体のさらなる活性化のためには、交流人口の拡大、とりわけ首都圏からの誘客力の向上、交通アクセスの強化が不可欠であります。このため本町は、立地自治体として中長期的視点に立ち、双葉郡の他町村、東日本旅客鉄道株式会社、福島県、双葉地方町村会と密に連携し、新駅設置に向けた取り組みを進めていきます。
また、町民が安心して暮らせる住環境を整備していく上で、教育・子育て環境をしっかりと捉えていくという視点が非常に重要であります。教育・子育て環境が充実していることは、将来を担う子どもたちや家族が将来にわたり町で生活していただけることにつながるものであり、広野町が持続可能な自治体として成長していくため非常に重要であります。
本町に立地する「ふたば未来学園高等学校」は、約三百人強の生徒が、自立、協働、創造の校訓のもと、日々頑張っており、三月一日に第一期生が卒業しました。浜通りに進出した研究機関や企業が高等教育を修学した人材を求めることを考慮すれば、当該地域への高等教育機関の誘致が重要であり、子どもたちに「みらい」や「夢」を感じてもらえる環境を整える必要があります。町としましては、連携協定を締結している早稲田大学環境総合研究センターや東日本国際大学、福島高等専門学校との連携を密にし、ふたば未来学園高等学校をはじめ、町内の教育環境の充実に努めます。
ふたば未来学園整備事業につきましては、福島県教育庁は、平成三十一年春の開校を目指す中高一貫校について、併設型中高一貫教育校のメリットを活かしたコンパクトで機能的な施設、国際教育、環境教育等の多様な教育活動や、個別指導や共同学習を展開できる柔軟な運用が可能な本校舎施設を、総合グラウンド西側土取場跡地に、屋外運動施設のサッカーグラウンドを下北迫字岩作地内に、通学困難な生徒のための寄宿舎が、平成三十一年三月竣工に向け、着工されました。町としましては、福島県教育庁に協力し、予定どおりに整備が進むよう取り組みます。
本年一月に、こども家庭課内に「広野町子育て世代包括支援センター」を立ち上げ、妊娠から出産、子育てへと途切れのない支援を行うこととしており、平成三十年度においては、はじめての妊娠、出産を控えるご夫婦を対象とした学習会の開催や相談コーナーの開設等、より一層子育て世代へ寄り添いながら支援の充実を図ります。出産後一ヶ月を含めた妊産婦健康診査、乳幼児健康診査、核種予防接種事業、乳幼児等医療費助成事業を引き続き実施いたします。
また、帰還された障がい者児等が公共交通機関の利用が困難な場合や福祉事業所の送迎を受けられない等の場合には、障がい者児の通所事業所までの移動支援を継続いたします。また、障がい者児福祉について、地域住民により一層理解を頂けるよう啓発に努めます。
子ども子育て支援新制度につきましては、「広野町子ども子育て支援事業計画」に基づき、各種事業を推進しております。平成三十一年度が改訂の時期となるため、平成三十年から改訂作業の準備に取りかかることとしており、対象世帯へのアンケート調査を予定しております。
認定こども園整備事業につきましては、町の未来を担う子どもたちの健やかな成長を育む土台となるべく、幼保連携型の一元化施設として、認定こども園の整備を進めております。二月に臨時議会において承認を頂き、本体工事に着手いたしました。平成三十年度においては、平成三十一年四月の開園に向けて、本体工事に加え、外構工事に着手し、安心して子育てができる環境づくりを進めます。また、工事期間中は保健センター、保育所、児童館を利用する皆様にはご迷惑をお掛けすることとなりますが、各施設利用者の安全を第一に事業を進めます。
児童福祉(保育所・児童館)につきましては、児童館の次年度においては八十人を超える児童の入館が予定されており、将来を担う子どもたちが、明るく、元気に、健やかに過ごせるよう指導体制も含め環境整備に努めます。保育所につきましては、現有施設での最後の保育となることに加え、認定こども園整備工事の現場に隣接することから、子どもたちの安全管理を第一に、子どもたちにとって不便のない保育を実施いたします。
環境対策につきましては、各地区のゴミステーションにおいて、収集日以外にゴミ出しされている集積箱や、家電等を空き地や林道に不法投棄している事案があることから、環境美化推進員の見回りと、広野町安心・安全ネットワーク会議をとおし、関連事業所等への注意喚起に努めます。かねてから懸案事項でありました祝祭日のゴミの収集につきましては、本年四月から実施いたします。
除染対策につきましては、平成二十四年度から実施している家屋敷地等における環境モニタリング調査を引き続き実施し、生活圏における放射線の状況等について情報を提供していきます。また、平成三十年度の除染廃棄物の中間貯蔵施設への搬出量につきましては、約三万三千袋となっておりますが、残りの除染廃棄物も速やかに搬出するよう環境省に求めていきます。また、その間、責任を持って、東町仮置き場の安全管理に努めていきます。
交通安全対策につきましては、広野町安心・安全ネットワーク会議をはじめ、関係機関と緊密な連携を図り、毎月の立哨活動をとおし、交通事故防止に努めます。また、高齢者が当事者となる交通事故の減少を図るため、高齢者運転免許証自主返納支援事業を実施いたします。
防犯対策につきましては、地域住民が安心して生活できるよう、双葉警察署、警戒パトロール隊、防犯指導隊等関係団体と連携を図り犯罪の防止に努めます。犯罪に対する抑止力の向上図るため、昨年に引き続き、住宅用防犯カメラの設置者に対し経費の一部を支援します。
防災・防火対策につきましては、地震、津波から地域住民の生命を守るため、関係機関と連携のもと、津波避難訓練を実施いたします。災害発生時に地域住民が多様な情報手段から情報を取得し、迅速かつ確実に避難することができるよう、新たにJアラートと防災行政無線を連携し、情報の多重化を進めます。広域消防指令台で覚知した災害情報に基づき、町の防災行政無線と連動して、火災情報等の伝達ができるシステムを構築いたします。また、火災が起きないよう消防団、婦人消防隊と連携し、予防消防に努めます。
本町の森林につきましては、上浅見川地域より、ふくしま森林再生事業を活用し、間伐等の森林整備と、表土の流出防止等の放射性物質対策を一体的に実施し、森林の有する多面的機能の維持と放射性物質の拡散防止へ計画的に取り組みます。
“防災拠点道の駅ひろの”整備事業につきましては、双葉地方を元気で活力のある地域とするため、町民が積極的に関わる「協働」による道の駅の整備と民意の合意形成を図りながら進めていきます。
道の駅計画区域内の土取り造成事業につきましては、公設の土取り場として位置付け、広野町以北の災害復旧事業と復興事業等の盛土材として活用し、暫定の造成により平地となった場所を防災広場とすることから、土取り採取計画の許可申請事務と国道六号線からの出入口を確保のうえ、国土交通省磐城国道事務所との連携を図り、土取り造成事業に着手いたします。
教育全般につきましては、幼稚園、小学校、中学校が、義務教育終了時点の「めざす子どもの姿」を共有し、「夢や希望を抱き未来をたくましく生き抜く幅広い見識と創造性の育成」を、幼稚園と義務教育九年間の一貫した教育目標として掲げ、各発達段階において、その基礎となる「確かな学力と自ら学ぶ意欲や態度」「人への思いやりの心とふるさとへの愛着」「生涯にわたり健康で安全に生活する力」の育成を目指し、「広野町教育ビジョン」に基づく魅力ある教育活動を展開していきます。
就学・就園支援事業につきましては、東日本大震災により被災した園児児童生徒の保護者等に対し、被災児童生徒就学援助事業補助金を活用し、定められた所得要件に基づき、私立幼稚園の保育料や小中学校就学に係る費用を助成する就学援助を実施いたします。また、同補助金により、平成三十年度においても広野小・中学校に通学する児童生徒の安全を確保するため、引き続き町内外のスクールバスの運行を実施いたします。
広野幼稚園就園補助事業につきましては、東日本大震災により被災した保護者の負担軽減と広野幼稚園への就園奨励を図るため、広野幼稚園に在園する園児の保育料と給食費の全額を補助します。
国際交流事業につきましては、次世代を担う中学生を海外に派遣し、ホームステイや同世代の人たちとの交流や、海外での様々な事業に参加することで、「国際的な視野と見識」並びに積極的に物事に取り組む「逞しく生きる力」を身につけるため国際交流事業を実施いたします。
ふるさと創造学・映像教育につきましては、中学一年生を中心に映像制作を行い、ふるさと広野町の良さを再発見し、伝統と文化を見つめ直すことで、広野町の未来と地域の復興に貢献できる子どもたちを育成する「ふるさと創造学」に取り組みます。
幼小中魅力化検討事業につきましては、ふたば未来学園における併設型中学校が平成三十一年四月に開校される状況において、広野中学校の健全なあり方について熟慮し、これまで実施してきた小中学校間の連携・接続の成果を検証しつつ、幼稚園・小中学校の魅力ある教育の具体化に向けた検討を行います。
公民館における社会教育及び社会体育事業につきましては、八割を超える町民が帰還し、新たな生活をしている中において、地域住民の心のよりどころとなるような「ふるさと創生大学」、各種文化教室の開催等、生涯学習を充実させるとともに、文化並びにスポーツイベントを開催し、地域間及び世代間の交流を促進させ、併せて交流人口の拡大を図ります。また、施設整備につきましては、ふたば未来学園高等学校及び認定こども園の建設に伴い、総合グラウンド周辺の環境が大きく変化することを考慮し、屋外スポーツ施設の改修を計画的に進めていきます。
以上申し述べました各重点事業以外の、主な事業について申し上げます。
広野町コミュニティ助成金制度につきましては、長期にわたる避難生活により薄れつつある町内コミュニティの維持、強化のため、行政区に対して交流会等開催の際の費用を補助する制度であります。助成金の単価を二千円とし、引き続き実施いたします。
広報誌等の行政情報の提供方法等につきましては、平成二十九年七月以降、町内においては震災以前の行政区回覧による配布方法を原則とし、引き続き町外へ避難を継続される方で、広報紙等の送付を希望される方には、福島県が行う「ふるさとふくしま情報提供事業」を活用し、広報誌等の行政情報を郵送にて提供しております。
町民バス運行委託事業につきましては、昨年に引き続き、民間バス事業者に運行を委託することで、さらなる安全・安心を確保しつつ確実な運行を図ります。
次に、町民が安心して帰還できる生活環境の構築と震災前の生活を取り戻し日常生活の安定を図るため、交通の安全確保と利便性、更には、緊急時対応ができる避難路及び防災機能を有する計画的な道路網の整備は、たいへん重要であります。
本年度も福島県と連携を図り、津波被災地内の広野橋橋梁整備と築地・新町線を整備し、道路供用の開始に全力を傾注するとともに、「広野町認定こども園」や「ふたば未来学園高校」本校開校地へ接続する中央台・大谷内線道路改良、浅倉橋橋梁整備、中央台・山ノ神線及び北釜・東町線道路改良舗装事業を実施いたします。また、松葉線、北釜・大谷地原線、萱平線、田戸作線の詳細設計と用地測量を計画的に実施いたします。
次に、公共用水域の良好な水質保全と環境改善を図る観点から、日常生活に密着した公共下水道事業、農業集落排水事業、合併処理浄化槽設置の普及促進に努め、より一層の水質保全を図ります。また、良好な住環境の構築を図る観点から、町内の消費活動と地域経済の活性化に結びつく、個人住宅改良支援事業を継続的に推進いたします。
以上、平成三十年度予算に計上した主な施策等を申し上げましたが、その財源としましては、「東日本大震災復興特別会計」予算等を最大限に活用するほか、あらゆる方策を講じて財源を確保することや、国・県に対しても十分な財政措置を講ずるよう強く要望していきます。更に、限られた財源を有効に活用する観点から、経費の一層の節減合理化と、引き続き行政各般にわたる見直しを行い、各種施策の優先順位につきましては、必要性・優先度を勘案した厳しい選択を行い編成したところであります。
その結果、一般会計は総額六十億七千二十七万五千円の規模となり、対前年比三十一パーセントの減となったところであります。
その概要を申し上げますと、まず、歳入面では、震災復興特別交付税をはじめとする国、県の様々な財政的支援や広野火力発電所六号機の運転開始による固定資産税の増収等により普通交付税の不交付団体になると見込まれるものの、復興の進捗に伴って縮小していくことは明らかであり、加えて復興・創生関連事業の実施や社会保障費の増大等、本町財政は依然として厳しい状況にあります。このため、可能な限り歳入の確保を図るとともに、財政調整基金、復興交付金基金等、各種基金からの繰り入れを見込み、財源の確保をいたしております。
一方、歳出面では、復興・創生への取り組みを最優先とし、放射線健康管理事業、救急患者受け入れ支援事業、農業次世代人材育成奨学金事業、テレワーク推進事業、心の復興支援事業、広野スタイル創出事業、少子化対策事業、認定こども園整備事業等、町民の皆様の生活再建と、新たな価値観に基づく新しいまちづくりに向けた事業を展開いたします。また、避難生活の長期化により心身の健康を崩された方が見受けられることから、保健指導や訪問活動等の被災者健康支援を強化いたします。更に、橋梁整備事業や町道整備事業、農林振興事業、道の駅整備事業等に、限られた財源の重点的、優先的な配分に努めました。
次に、各特別会計の予算案について申し上げます。
「国民健康保険特別会計予算案」については、国保財政の健全化、効率的な運用に努めるとともに、医療費の適正化及び町民の健康維持対策等に努めます。
「土地開発事業特別会計予算案」については、工業団地整備事業を主体に広野町復興計画に基づく、広野駅東側整備事業並びに広洋台住宅団地等の環境保全対策に努めます。
「公共下水道事業特別会計予算案」については、終末処理施設等の適正な維持管理に努めます。
「農業集落排水事業特別会計予算案」については、施設の維持管理を主体とした予算編成をいたしました。
「介護保険特別会計予算案」については、制度の趣旨を踏まえ、介護保険の円滑な運営に要する所要経費を計上いたしました。
「後期高齢者医療特別会計予算案」については、これから迎える超高齢化社会に対応した高齢者医療制度の円滑な運営のため、所要額を計上いたしました。
平成三十年度の一般会計及び六特別会計を合わせた予算総額は、七十八億九千五百十七万八千円で、対前年度比二十九パーセントの減となる予算規模であります。
以上、平成三十年度広野町の主要な施政の基本、施政の概要及び財政運営方針についてご説明申し上げました。

広野町長 遠藤 智

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