平成27年3月5日 町長施政方針

ページ番号1002055  更新日 2022年2月10日

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平成27年第1回広野町議会定例会 町長施政方針(抜すい)

1 除染・放射線対策

町では、汚染状況重点調査地域の指定を受け、広野町除染実施計画を作成し、放射性物質により汚染された土壌などの除染作業を平成24年3月より実施し、町民の皆さんのご協力により、計画区域の除染は、一定の見通しが立ったところであります。
しかし、局所的に周囲より高い放射線量が測定される箇所が点在しており、住民が不安を抱いていることから、フォローアップ除染の早期確立について、国に強く求めていきます。また、未同意の家屋などの除染や除染実施区域外の土地で、新たに住宅開発などの土地利用箇所につきましては、引き続き除染を実施いたします。さらに、町内の農業用ため池について、平成26年度に調査事業を実施しておりますが、その結果に関わらず、全箇所の底地の除去などの放射線対策事業を実施すべく、国に強く働きかけを展開いたします。
本町における放射線量は、除染などにより低減しているものの、町民はまだまだ健康不安を抱えている状況にあります。
現在、ホールボディーカウンターによる検査を馬場医院、保健センターの2か所で実施しているところであり、引き続き検査を実施し放射線による健康不安の軽減と長期的な健康管理を図ります。また、小学生・中学生を対象として個人被ばく線量計による日常生活における積算線量を測定し健康管理に努めます。さらに、町放射線健康管理アドバイザーによる講演会の開催と少人数による相談会を引き続き開催いたします。
町民の帰還促進を図るため、町民一人ひとりの放射線不安の解消と安心・安全を確保する一環として配布しております個人線量計につきましては、適正に活用できるよう機器の校正を実施いたします。
次に、継続的に実施している各戸5点モニタリング調査事業につきましては、引き続き実施していくこととしており、また、モニタリング調査区域の拡大を図り、放射線マップを作成することといたしております。
平成26年度事業として、大学の教授などからなる有識者による除染等に関する検証委員会を立ち上げ、これまで取り組んできた除染事業やその結果について、さまざまな観点から検証を実施しておりましたが、先般、その中間答申がなされたところであります。その内容といたしましては、除染は当初の目的を達成し、本町での日常生活における放射線被ばくは健康への影響を心配するレベルにはないと評価するものでしたが、放射線に対する正しい知識の普及など町としての放射線対策の充実、強化が求められているため、今回課名を「除染対策課」から「放射線対策課」へと変更する条例の一部改正議案を上程しているところであります(可決されました)。平成27年度におきましても、引き続き検証事業を継続し、町民の皆さまへの放射性物質による健康面や生活環境への影響について、きめ細かな情報を提供してまいります。
昨年11月に立ち上げた「広野町放射線相談室」でありますが、町民の皆さまが放射線に対する不安や疑問について、正確な情報を提供するため、各種教室や講演会を開催するなど、気軽にご相談いたける組織として充実させるべく、全力で取り組んでまいります。

2 安全・安心な暮らしの確保

仮設住宅などの避難先はもとより、帰町された自宅においても、健康で生きがいをもって、安心して暮らすことができるよう関係機関と連携し、ひとり暮らしの高齢者や高齢者世帯の生活を支援いたします。
障がい者福祉については、障がい者が自立した生活を送ることができるよう、障がい者自立支援給付事業や地域生活支援事業を通じて日常生活を支援するとともに、各種障がい福祉サービスや相談業務の充実に努めてまいります。また、避難先から帰町された方が、継続してサービスが受けられるよう支援体制を整備いたします。
交通安全対策につきましては、昨年7月に死亡事故ゼロ3000日を達成し、現在も継続中でありますが、昨年発足いたしました広野町安心・安全ネットワーク会議をはじめ、関係機関との緊密な連携を図りながらさまざまな活動を行うことで、交通安全意識の高揚および交通マナーの向上に努めます。
町民の日常生活に欠かすことのできない道路網の整備につきましては、緊急時に対応する避難路、防災機能を有する道路として、計画的な道路網の整備が極めて重要であります。町民の幸せな帰町に向けた、生活環境の整備は、震災前以上に生活の支障とならないよう、道路交通の利便性と交通安全の確保に努めます。
本年度も引き続き、福島県との連携を図り、津波被災地の下浅見川地区、下北迫地区における町道下浅見川線、築地・新町線、広野橋、日の出橋の整備に全力を傾注するとともに、北沢・東下線道路改良、中央台・山ノ神線浅倉橋の下部工工事を実施いたします。また、本年開校の「ふたば未来学園高校」エリアと併せて、町道中央台1号線、中央台・大谷内線の予備設計業務に着手いたします。
公共用水域の良好な水質保全を図る観点から、日常生活に密着した公共下水道、農業集落排水事業、合併処理浄化槽設置の普及促進を図り、より一層の水質保全に努めます。また、安全で良好な住環境を確保し、町民の消費活動が地域経済の活性化に結びつく、個人住宅改良支援事業を継続実施いたします。

3 健康の確保と医療体制の充実

長期間避難生活が継続していることにより、生活習慣病の発症や身体機能の低下、閉じこもり、心の病など心身の健康状態の悪化が懸念されております。これらの予防、改善策として、避難している方、町内に戻られている方への訪問による健康支援活動を継続していくことが重要であります。このため、平成27年度におきましても、福島県など関係機関・団体と連携して取り組んでまいります。
また、乳幼児等医療費助成事業、妊婦健康診査、乳幼児健康診査、各種予防接種事業、人間ドック・脳ドック検診費用助成を引き続き実施いたします。
新たに出産後1か月健診について、町費負担を行うこととしました。出産後の身体的・精神的に不安定になるとされる時期に積極的な支援を行い、健全な育児につなげていきたいと考えております。
特定健康診査や各種がん検診などの受診率を高め、疾病の早期発見・早期治療を図るとともに、特定健康診査データを分析した結果などを保健事業に反映させ、町民の健康寿命の延伸と医療費の抑制に努めていきたいと考えております。
町民生活に不可欠な医療体制の再構築につきましては、いわき市に設置される双葉郡立診療所および楢葉町に設置される県立診療所の整備について、双葉地方町村会、双葉地方広域市町村圏組合など、より良い診療所となるよう関係機関に対して意見を申し上げていきます。また、町民が安心して町内で生活できるよう、引き続き町内医療機関と連携した、医療体制を構築するとともに、看護師などの確保支援に努めてまいります。
献血事業につきましては、血液製剤の安定的な確保のため福島県赤十字血液センターと連携して献血事業に引き続き取り組みます。
国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険における保険税・保険料および一部負担金の免除に対する国の財政支援につきましては、上位所得層を除いて1年間延長され、保険税・保険料につきましては平成28年3月まで、一部負担金については、平成28年2月29日まで継続されることとなりました。
当町の医療費などは震災以降、著しく高い水準にありますので、特定健康診査の受診率向上、医療費適正化の推進、健康づくり意識の啓発、医療費分析の結果を活用した保健事業などに取り組み、各医療制度の事業運営の安定化に努めたいと考えております。

4 産業経済の復興

広野町復興計画に掲げる基本理念・目的を達成するため、シンボル事業として位置付けている広野駅東側開発の造成工事を進めるなど、諸施策を確実に実施いたします。また、復興関係事業をはじめとしたまちづくり施策の実施にあたっては、福島再生加速化交付金をはじめとした国・県補助金などの財源確保に努め、町一般財源の負担を少なくする財政運営に努めます。
第2期災害公営住宅整備事業につきましては、敷地造成工事および14戸の住宅建築工事に着手いたします。
復興道路整備事業につきましては、計画道路の用地取得を行いながら、駅東側開発との整合性を図り、早期完成を目指し進めてまいります。
広野駅自由通路整備事業につきましても、JR東日本との設計協議を進めており、本年度において工事協定の締結を行い早期完成に向け事業の推進を図ります。
農業を取り巻く状況は依然として厳しい状況にありますが、平成27年産米の作付けについては、福島県より広野町の水稲生産数量目標について186ヘクタールと示されました。JAふたばの種もみの申込み状況から2月末現在、約160ヘクタールの水田で作付される見込みとなっており、営農再開をしている農家の皆さまに対し、国の経営安定対策等補助制度を活用していただき農業経営の安定を図ります。
また、中山間地域等直接支払推進事業ならびに多面的機能支払事業の取り組みにより用排水路などの農業施設、農地の保全管理を推進するとともに、担い手農家への農地の集積を後押しします。
併せて、担い手農家へ農地の集積を目指し、ほ場の環境整備を図るために、亀ヶ崎地区ほか6地区のほ場整備事業の実施に向けて取り組みます。
次に、役場前への複合商業施設整備を進めることで、行政施設、教育施設が集中するエリアとしての機能強化を図り、買い物や役場での手続きなどのワンストップサービスを推進してまいります。また、地元事業者などとの連携により、町民が集い賑わいのあるコミュニティーゾーンとなるように取り組みます。
なお、広野駅東側開発地区や広野工業団地への新規企業の誘致を進めるとともに、商業施設の整備や広野火力発電所内の石炭ガス化複合発電設備の確実な着手によって、雇用の場のさらなる充実を図ります。

5 防災に関する整備

地震をはじめ、津波、火災などの災害や、複雑多様化する犯罪から町民の生命、財産を守るため、関係機関との緊密な連携のもと、的確な予防行政の推進および犯罪防止に努めます。
特に、4月の運用開始に向けて整備を進めております見守りカメラにつきましては、町内の小・中学生、加えて四月からのふたば未来学園高校の通学路へ重点的に整備しており、安心・安全なまちづくりに向けて住民と一体となり、見守ります。
防災行政無線の子局および戸別受信機のデジタル化を図ることで、より確実な町民への情報伝達手段の確立に努めるとともに、東日本大震災の経験、反省を踏まえ、災害発生時に住民への支援を円滑に行うための防災備蓄倉庫を整備し、防災機能の強化を図ります。
新年度には福島県相双地方総合防災訓練および石油コンビナート防災訓練が町内で開催される予定でありますので、発災に対して迅速かつ的確に対応ができる実践的な訓練を関係機関と連携しながら実施して参ります。
次に、“防災拠点道の駅”整備事業について申し上げます。
東日本大震災および原子力災害から丸4年を経て、今なお、多くの町民が避難生活を続けている現状から、町民が安心して日々の生活に戻れる環境の構築と、笑顔で元気な町の姿を内外へ発信する町の「復興」のシンボルと位置付け、ヘリポートや広域的な防災広場に加え、町内外生活者の地域コミュニティ交流施設など、さまざまな機能を兼ね備えた新しい“防災拠点道の駅”整備事業の基本計画に取り組んでまいります。

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