豊かな自然に包まれた穏やかなまちの雰囲気が魅力

福島広域雇用促進支援協議会 事務局 犬塚 崇之さん

福島広域雇用促進支援協議会 事務局 犬塚 崇之さん

長崎県で生まれ、小学生のときに広野町に移り住んだという犬塚さん。中学2年生の3月に東日本大震災があり、各地での避難生活を経ていわき市へ。市内で高校生活を1年送った後、ニュージーランドの高校に留学しました。「英語圏の文化に興味があり、実際に行ってみたいと思ったんです。そこで3年間を過ごしました」
帰国後は京都の大学に進学。しかし2019年春、持病の悪化による闘病生活のため大学を辞めざる得なくなり、不本意ながらも広野町に戻りました。それでも小学校、中学校の時間を過ごした住み慣れた町は、心が落ち着く感じがして前向きになれたそうです。


仕事を通してまちに活気を

犬塚崇之さん(写真1)
犬塚崇之さん

犬塚さんが勤務している福島広域雇用促進支援協議会は、被災12市町村の雇用の確保と安定を目的に、求職者向けと事業所向けの両方を対象とした支援事業を提供しています。いわき市や双葉郡などで合同面接会を開催したり、事業所の見学会、セミナーなどを企画。福島市に福島統括窓口があり、南相馬市、田村市、広野町に各窓口が置かれています。
犬塚さんは広野窓口の職員として、事業者と求職者のマッチングを図る職場体験に関わる業務を担当しています。「被災して、一時的に人がいなくなってしまった地域にまた人を戻し、雇用を生んでいくことは大変なことでもありますが、やりがいを感じます。仕事を通して、自分が育った町に活気が戻るお手伝いができればいいなと思っています」


「広野昇龍太鼓」のメンバーに

犬塚崇之さん(写真2)
演奏する広野昇龍太鼓の皆さん

広野町に戻った犬塚さんは、創作和太鼓グループ「広野昇龍太鼓」の一員となりました。広野町を拠点に活動する「広野昇龍太鼓」は、1994年に町の有志により結成。犬塚さんは小学生のとき、広野町で太鼓を習っていたそうです。留学先のニュージーランドでも、現地の日本人などによる和太鼓グループで叩いていたという犬塚さん。広野町に戻り「また演奏してみたい」と、メンバーに加わりました。「小学生のときに教えてくれた太鼓の先生と再開でき、懐かしい人たちにも会えて、また一緒に太鼓を叩けるのはとても嬉しかったです。週1回の稽古に通うのが楽しみになりました」


犬塚崇之さん(写真2)
サマフェスでの犬塚崇之さん

夏に二つ沼総合公園で開催された「広野町サマーフェスティバル」では中太鼓を叩き、その練習の成果を披露。太鼓の音の迫力、叩いたときに体にビリビリと伝わる振動、そして、メンバーと呼吸を合わせて演奏し終えたときの達成感が何とも言えない魅力だそうです。 年齢層も様々だという「広野昇龍太鼓」では、随時メンバーを募集中とのこと。「例えば、移住してきた人にも参加してもらえたら、地域の人と交流できるいい機会になると思います。私も小学生のときに広野町に越して来ましたが、太鼓を通していろいろな世代の人とコミュニケーションを深めることができました」


坂道から見える海が好き

犬塚さんにとっての広野町は「自然が豊かで、ゆったりと暮らせる場所」。時間の流れがゆっくりしていると感じるそうです。「都会と比べてしまうと、多少の不便を感じることもあります。例えば、車がないと不便なところとか。でも、町の穏やかな雰囲気や、暮らしやすさの魅力のほうが大きいです。実際、子育てをするために広野町にUターンを考えている同級生もいます。子供を育てる環境はいいと思いますね」。移住を考えている人にとって、仕事も大切な要素のひとつ。双葉地方はまだまだ人手不足が続き、特に若い世代の働き手が求められていると言います。犬塚さんが働く協議会のサイト「働きたいネット」では、就活をサポートする様々なメニューがあるそうです。「求職者の希望があれば、職場見学を働きかけることもできますので、お気軽にご相談いただければと思います」
ふたば未来学園に向かう坂道から見える、海の風景が好きだという犬塚さん。優しい眼差しでふるさとの明日を見つめていました。

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広野暮らし相談窓口「りんくひろの」
〒979-0402 福島県双葉郡広野町大字下北迫字苗代替35番地
広野町役場 復興企画課内
電話:0240-27-1251 ファクス:0240-27-2212
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