平成29年3月10日 町長施政方針

ページ番号1002038  更新日 2022年2月10日

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平成29年第1回広野町定例会 町政経過報告(抜粋)

1 いのちを守る事業

放射線健康管理事業につきましては、本町における放射線量は、除染等により低減しているものの、町民はまだ健康不安を抱えている状況にあります。ホールボディカウンターによる内部被ばく検査、小学生・中学生を対象としたバッチ式線量計による日常生活での放射線量の測定、町放射線健康管理アドバイザーによる講演会と少人数の相談会を実施し、放射線による健康不安の軽減に努めていきます。
保健事業の推進につきましては、本町においては、心疾患、脳血管疾患の死亡率が国・県より高く、生活習慣病の予防が重要な課題となっています。また、長期の避難生活により、生活習慣病の発症や身体機能の低下、閉じこもり、心の病など心身の健康状態の悪化も懸念され、避難を継続している方、町内に戻られた方への健康支援活動を継続していく必要があります。平成29年度においても、福島県をはじめ、県内外の有識者、関係機関の指導・助言をいただきながら、広野町健康づくり計画に沿って、栄養、運動、心の健康などの健康づくりに取り組んでいきます。また、健康診査、各種がん検診を実施し、生活習慣病の予防、疾病の早期発見・治療を目指すとともに、特定健診未受診者に対しては、更に受診勧奨を行っていきます。
医療環境向上の推進につきましては、町民等が健康で安心して生活できるよう地域の医療環境の向上を図るため、医療を提供する役割を担う町内医療機関に対する町単独の支援事業を創出し、実施していきます。この事業は、双葉地方において震災以前のような医療環境が整わない状況において、町民等の医療環境の充実・向上を図り、原子力被災地における地域医療を守っていくための取り組みであります。
国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険における保険税・保険料および一部負担金につきましては、旧緊急時避難準備区域の指定を受けた広野町・南相馬市・田村市・川内村の4市町村による国・県への要望活動実施を働きかけるなど、様々な機会を通して「医療費の一部負担金等の免除に対する財政支援の継続」について要望してまいりました。結果、上位所得層を除く被保険者は、昨年に引き続き免除されることとなり、保険料につきましては平成30年3月分まで、一部負担金につきましては平成30年2月28日まで、免除が延長されることになりました。また、同じく要望活動を実施した「高速道路の無料措置の継続」については、同年3月31日まで継続されることになりました。
福祉施策につきましては、仮設住宅などの避難先はもとより、帰町された自宅において、健康で生きがいを持って安心して暮らすことができるよう関係機関と連携し、外出支援サービス事業をいわき市内まで拡充するなど、ひとり暮らし高齢者や高齢者世帯の生活支援の充実に努めます。
障害者福祉につきましては、障害者が自立した生活を送ることができるよう、障害者自立支援給付事業地域生活支援事業を通じて日常生活を支援するとともに、各種障害福祉サービスや相談業務の充実に努めます。
介護保険事業について、デイサービスセンター「広桜荘」は、現在、月曜日から金曜日までの開所となっておりますが、4月以降は祝祭日も開所し、利用者の利便性向上につなげていきます。また、職員体制が整いしだい、平成29年度のなるべく早い時期に土曜日の開所を目指します。
東日本大震災にともなう応急仮設住宅および借り上げ住宅の供与期間が3月末で終了します。様々な事情で引き続き避難を継続する町民もおりますが、3月末で約4100人の町民が帰還する見通しであります。福島県ふるさと引越し補助金および広野町早期帰還補助金につきましては、3月31日までに町内の自宅等へ移転することが対象になりますが、帰還後何らかの事情で県・町の引越補助金の申請期間内に申請できなかった町民に対しては、新設する引越し補助金により対応いたします。
防犯・防災対策につきましては、町民が安心して生活できるよう、双葉警察署をはじめとする関係団体と連携を図り犯罪の防止に努めます。また、防犯灯の設置や犯罪に対する抑止力の向上を推進するため、住宅用防犯カメラの設置者に対し補助金を交付いたします。また、地震、津波から町民の生命を守るため関係機関と連携のもと、津波避難訓練を実施いたします。災害発生時には防災行政無線やエリアメール、役場屋上LED防災情報表示システム等で正確、迅速な情報が発信できるよう努めます。また、火災が起きないよう消防団と連携し予防消防に努めます。
環境対策につきましては、各地区のゴミステーションにおいて、収集日以外にゴミ出しされている集積箱や家電などを河川などに不法投棄している事案もあります。これらについては、環境美化推進員の見回りと広野町安心・安全ネットワーク会議を通じ、作業員宿舎等への注意喚起の強化に努めます。ゴミの量が多くなってきたゴミステーションにつきましては、計画的に集積箱の増設を図ります。
交通安全対策につきましては、国道、県道、町道の全てにおいて慢性的に交通量が多く、交通ルールを守らない車両も見受けられ、町民の交通事故が懸念されます。広野町安心・安全ネットワーク会議をはじめ関係機関との緊密な連携を図りながら、毎月の立哨活動を通し交通マナーを呼びかけ、交通死亡事故防止に努めます。
放射線対策事業につきましては、広野町除染実施計画が平成28年度をもって終了となりますが、平成24年度から継続的に実施している家屋等における環境モニタリング調査を引き続き実施し、生活圏における放射線の状況や影響等について情報を提供していきます。また、その結果、除染効果が得られない箇所につきましては、その解消に向けた取り組みを行っていきます。
東町除染廃棄物等仮置場につきましては、中間貯蔵施設等整備の遅延により、保管期間が長期化しており、その間の、安全かつ確実な管理運営となるようその徹底に努めます。また、保管されている廃棄物の速やかな中間貯蔵施設等への搬出についても、国と連携のもと確実に実施していきます。
放射線健康対策事業につきましては、町民の皆さまの放射線に対する不安や疑問にお応えするため設置した広野町放射線相談室において、町民が抱く放射線に関する各種不安について、きめ細やかな対応となるよう充実に努めていきます。

2 人を活かす事業

被災地域テレワーク推進事業につきましては、町民の帰町に向けた環境整備の一環として、情報技術を活用して在宅で仕事ができるテレワーク事業を導入し、柔軟な働き方ができる雇用環境を町民に提供することで、ICT関連産業の発展と、ひいては避難地域全体の復興推進を図ります。
雇用の創出につきましては、企業立地補助金を活用した広野駅東側開発地区や広野工業団地への新規企業の誘致を進めるとともに、広野火力発電所内の高効率石炭火力発電(IGCC)の着手によって、雇用の場のさらなる充実に努めます。
復興関連事業の継続につきましては、広野町復興計画に掲げる基本理念・目的を達成するため、シンボル事業として位置付けている広野駅東側開発の整備を進めるなど、諸施策を確実に実施いたします。また、復興関連事業を始めとした町づくり施策の実施にあたっては、福島再生加速化交付金を始めとした国・県補助金等の財源確保に努め、町一般財源の負担を少なくする財政運営に努めます。
復興道路整備事業につきましては、計画道路の用地取得を行いながら、駅東側開発との整合性を図り、早期完成を目指し進めます。また、広野駅前東口広場整備事業につきましても、早期完成を目指し進めます。
イノベーション・コースト構想の推進につきましては、本町は、双葉地域における廃炉などの研究開発拠点のバックオフィス的役割を果たし、広野町以北の復興に弾みを付けていけるよう取り組んでおります。
本町に立地する「ふたば未来学園高等学校」では、約300人の生徒が、自立、協働、創造の校訓のもと、日々頑張っており、平成29年度には初の卒業生が生まれます。拠点を中心とした浜通りに進出した研究機関や企業が高等教育を修学した人材を求めることを考えると、当該地域への高等教育機関の誘致が重要であり、子供達に「みらい」や「夢」を感じてもらえる環境を整える必要があります。
町としましては、連携協定を締結している東日本国際大学福島高専、さらには、早稲田大学環境総合研究センターとの連携を進め、ふたば未来学園を始め、若い世代の教育環境を支えていきます。
農業につきましては、営農再開5年目となります平成29年度産米の作付けについて、福島県より広野町の生産数量目標面積が177・2ヘクタールと示されました。平成29年度営農を行う農家に対しては、国の経営所得安定対策を活用していただき、農業経営の安定を図っていきます。併せて、本町は、ふるさと応援寄附金に寄付していただいた納税者に特別栽培米(精米60キログラム)および無添加味噌をお礼の品として贈る取り組みを通し、生産農家への支援と広野町産農産物のPRをしていきます。
担い手農家への農地の集約を目指し、ほ場の環境整備を図るため、町内7地区のほ場整備事業の早期着手に向け、土地改良区など関係機関と連携し取り組みます。
本町の森林につきましては、上浅見川地域よりふくしま森林再生事業を活用し、間伐などの森林整備と表土の流出を防止するなどの放射性物質対策を一体的に実施し、森林の有する多面的機能の維持と放射性物質の拡散防止に計画的に取り組みます。
また、町内事業者の事業再開や住民の帰還を促進するため需要を喚起し、地域経済の活性化を図ることを目的とした事業再開・帰還促進事業を活用し、プレミアム付き商品券を発行いたします。
「防災拠点道の駅ひろの」整備事業につきましては、東日本大震災と原子力発電所の重大な事故から7年目を迎え、町は、様々な復興事業により大きく変わろうとしており、ひと・もの・情報をつなぎ広野町を、そして双葉地方を元気で活力のある地域とするため、町民が積極的に関わる「協働」による道の駅の整備を目指し、整備検討委員会の「整備検討報告書」を踏まえ、民意の合意形成を図りながら進めていきます。

3 未来をつくる事業

町民一人ひとりが夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会を、広野駅を中心とした新たなまちづくりを進める中で、各種事業に対し、産学官金労言が連携し、広野町の復興・再生に向けて取り組んでいきます。
「まち・ひと・しごと創生」広野町総合戦略につきましては、町では、第5次広野町町勢振興計画および第2次国土利用計画を策定しました。これらの計画で示している基本理念や将来像と方向性が、総合戦略で目指すまちづくりと一致していることから、広野町総合戦略を町勢振興計画の特に若い世代における移住・定住促進、新たな人の流れ、まちづくり、産業分野の戦略的ビジョンとして位置付け、広野スタイル創出事業などに取り組みます。
教育全般につきましては、幼稚園、小学校、中学校が、義務教育終了時点の「めざす子どもの姿」を共有し、「夢や希望を抱き未来をたくましく生き抜く幅広い見識と創造性の育成」を幼稚園と義務教育9年間の一貫した教育目標として掲げ、各発達段階において、その基礎となる「確かな学力と自ら学ぶ意欲や態度」「人への思いやりの心とふるさとへの愛着」「生涯にわたり健康で安全に生活する力」の育成を目指し、「広野町教育ビジョン」に基づく魅力ある教育活動を展開いたします。
就学・就園支援事業につきましては、福島第一原発事故により避難を余儀なくされていた児童生徒で、経済的な理由により小中学校への就学が困難と認められる児童生徒に対し、新入学用品費・学用品費・修学旅行費・学校給食費などの定められた費用の全額を助成する就学援助を実施いたします。また、平成29年度においても広野小・中学校に通学する児童生徒の安全を確保するため、引き続き町内外のスクールバスの運行を実施いたします。さらに、3歳から5歳児の幼稚園児に対しても、経済的な理由により避難先の公立・私立幼稚園に通園することが困難と認められる園児に対し、幼稚園保育料・入園料を補助する就園奨励費補助事業を実施いたします。
国際交流事業につきましては、東日本大震災・原発事故からの避難を余儀なくされ区域外就学等を経験し、さらには、本来の広野中学校校舎ではなく、小学校校舎を間借りして、就学するなど、厳しい教育環境にある中学生に、海外でのホームステイや学校訪問、そして同世代の人たちとの交流など、海外での様々な交流事業に参加することで、「国際的な視野と見識」ならびに積極的に物事に取り組む「逞しく生きる力」を身につけるため、国際交流事業を引き続き実施していきます。平成29年度につきましても、引き続きカナダでの事業展開を予定しておりますが、昨年以上に充実した事業内容を検討いたします。
認定こども園整備事業につきましては、現在、町の未来を託す子どもたちの健やかな成長を育む土台となるべく幼保連携型の一元化施設である「認定こども園」の整備を進めておりますが、平成29年度においては、平成31年4月の開園に向けて実施設計、および施設工事に着手し、安心して子育てができる環境づくりを進めます。
公民館における社会教育および社会体育事業につきましては、町民の更なる帰町が予想されることから、ふるさと創生大学など生涯学習の充実、地域間および世代間交流を目的としたイベントの開催、文化・スポーツ団体への支援などを行い、町民の震災からの「心の復興」へつながるよう取り組みます。
ふたば未来学園整備事業につきましては、福島県教育庁は、平成31年春の開校を目指す中高一貫校について、併設型中高一貫教育校のメリットを活かしたコンパクトで機能的な施設、国際教育、環境教育などの多様な教育活動や個々に応じた指導や共同学習を展開できる柔軟な運用が可能な本校舎施設を総合グラウンド西側土取場跡地に、屋外運動施設のサッカーグラウンドを下北迫字岩作地内に、通学が困難な生徒のための寄宿舎を広野駅東側第2期開発区域内に計画しております。町としましては、福島県教育庁に協力し、予定通りに整備が進むよう取り組んでいきます。

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