令和2年3月5日 町長施政方針

ページ番号1002020  更新日 2022年2月10日

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令和2年第1回広野町定例会 施政方針(抜粋)

1 いのちを守る事業

町の健康課題として、高血圧や高脂血症、肥満、糖尿病などによる心臓病や脳血管疾患の循環器疾患が多いことが挙げられ、県が公表したお達者度では、県下でも最も低いという結果になっております。これら健康課題に対応するため、働き盛り世代の頃から健康づくりと介護予防の両取り組みが重要になります。家庭、地域、行政などが相互に連携・協働し、健康づくりの普及啓発活動を強化します。さらに、有職者による「健康づくり推進協議会」において、第二次健康づくり計画の進捗管理を実施します。町民の健康管理につきましては、特定健診やがん検診の受診率向上をめざし、土曜日や日曜日の健診実施と受診勧奨を行います。保健師等による保健指導、家庭訪問、運動や減塩の教室を開催するとともに、フィットネス利用料金助成など、町民の健康増進に努めます。がん検診につきましては、昨年度から50歳以上の方を対象に胃がん健診内視鏡検査を開始しており、今年度においても胃がん対策を強化します。健康意識の高揚のための「健康まつり」、「健康講演会の開催、感染症予防のための予防接種助成及び人間ドック・脳ドック費用助成を実施します。町内の医療体制につきましては、医療環境の充実向上を図ることを目的とした医療環境向上推進事業を継続し、休診日等の当番制による診療体制を整え、医療機関に対する支援を継続するとともに、町民が安心して生活できるよう、町内医療機関と連携を図っていきます。さらに、昨年度、町独自の包括的手帳として作成した「広野町健康福祉手帳」の普及を進め、医療・福祉・保健機関が有機的な地域連携を図ります。国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険における保険税・保険料及び一部負担金につきましては、上位所得層を除く被保険者は、昨年に引き続き免除されることとなり、保険税・保険料につきましては令和3年3月分まで、一部負担金につきましては令和3年2月28日まで免除期間が延長されます。なお、上位所得層の方につきましては、保険税・保険料及び一部負担金のご負担をいただきます。本町の医療費等は、著しく高い水準にあります。特定健康診査の受診率向上、医療費適正化の推進、健康意識の啓発、医療費分析の結果を活用した保健事業などに取り組み、各医療制度の事業運営の安定化に努めたいと考えております。高齢者福祉につきましては、健康で生きがいを持って安心して暮らすことができるよう関係機関と連携し、外出支援サービス事業、配食サービス事業のほか、高齢者の見守り体制を構築するため「広野まるごと応援隊ネットワーク事業」の普及に努め、「福祉のまちづくり」実現に向け、ひとり暮らし高齢者や高齢者世帯の生活支援を充実していきます。障がい者福祉につきましては、障害者が自立した生活を送ることができるよう、障がい者自立支援給付事業や地域生活支援事業を通じて日常生活を支援するとともに、各種障がい福祉サービスや相談業務の充実に努めて参ります。また、障がいをお持ちの方で公共交通機関の利用が困難な場合で福祉事業所の送迎を受けられない方のために通所事業所までの移動支援を引き続き継続していきます。介護保険事業につきましては、平成28年度から「いきいき百歳体操」を実施しておりますが、令和2年度におきましても実施箇所を増やし、地域の皆さんが自主的に活動できるよう、サポート体制を整えて参ります。必要な方に必要なサービスが適切に提供できるように努め、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な事業を実施します。放射線健康管理事業につきましては、ホールボディカウンターによる内部被ばく検査に加え、小学生・中学生を対象としたDシャトル線量計による外部被ばく放射線量の測定、放射線出前講座や講演会を実施し、放射線による健康不安の軽減に努めていきます。大学の教授ら外部有識者による「広野町放射線健康対策委員会」を引き続き継続し、放射性物質による健康影響等について、専門家からの適切な助言をいただきながら放射線健康対策に取り組みます。広野町放射線相談室は、さらに内容の充実に努め、町民が抱く放射線に関する各種不安について、きめ細やかな対応に努めます。また、町民の身近な公民館において自家消費野菜等の放射能のスクリーニング検査を実施し、食品等の安全・安心を確保します。母子保健につきましては、こども家庭課内に設置した広野町子育て世代包括支援センターを活用し、妊娠から出産、子育てへと途切れのない支援を行っております。今年度、より一層子育て世代へ寄り添いながら支援の充実を図るとともに、出産後1ヶ月を含めた妊産婦健康診査、乳幼児健康診査、各種予防接種事業、乳幼児等医療費助成事業を引き続き実施いたします。平成30年度末より開始した特定不妊治療費助成に加え、昨年度から一般不妊治療費、不育治療費も新たに助成の対象としました。引き続き出生並びに子育てに悩むご夫婦の経済的負担の軽減を図って参ります。全国的に大きな問題となっています児童虐待につきましては、役場内関係各課及び児童相談所等の福祉関係機関、学校等の教育関係機関、警察関係機関等との連携を図り、虐待防止、早期発見に努めます。障がい児福祉につきましては、町内の障がい児等が通う通所事業所の備品購入費を支援するなど、障がい児の生活環境の改善に努めます。交通安全対策につきましては、広野町安心・安全ネットワーク会議をはじめ関係機関と緊密な連携を図り、6号国道等において立哨活動を毎月実施し、交通事故防止を呼びかけます。学校から2キロメートル圏内において小中学生の徒歩通学が実施されていることから、交通教育専門員による、児童・生徒の交通事故防止を図ります。また、昨年度に引き続き、高齢者が当事者となる交通事故の減少を図るため、高齢者運転免許証自主返納支援事業を実施します。防犯対策につきましては、地域住民が安心して生活できるよう、双葉警察署、警戒パトロール隊、防犯指導対等関係団体と連携を図り犯罪の防止に努めます。犯罪に対する抑止力の向上を推進するため、昨年度に引き続き、住宅用防犯カメラの設置者に対し経費の一部を支援します。防災、防火対策につきましては、東日本大震災の教訓を活かし、地震による津波から地域住民の生命を守るため、関係機関と連携のもと、津波避難訓練を実施します。災害発生時において、地域住民を迅速かつ確実に避難させるため、防災行政無線や緊急速報メール、役場屋上LED防災情報システムを活用し情報を的確に伝えます。消防団活動の環境整備を図るため、小型動力ポンプ付き軽積載車の入替を行います。また、消防団、婦人消防隊と連携し予防消防に努め、特に高齢者世帯に対しては関係機関と連携しながら火災予防啓発活動を実施します。いかなる大規模自然災害等が発生しても、「致命的な被害を負わない強さ」と「速やかに復旧・復興できるしなやかさ」を供えた強靱的な地域社会を構築し、安全で安心な町づくりを推進するための指針として「広野町国土強靱化地域計画」を策定します。

2 人を活かす事業

農業につきましては、営農再開8年目となります令和2年産米の作付けについて、福島県より生産面積の目安として148ヘクタールが示されました。令和2年度に営農を行う農家に対しては、国の経営所得安定対策を活用していただき、農業経営の安定を図ります。また、本町のような中山間地域では、高齢化が進む中、平地に比べて傾斜地が多いなど、農業生産条件が不利な面があることから、担い手の育成等による農業生産の維持を通じて、耕作放棄地の発生を防ぎ、水源涵養、洪水防止、土砂崩壊防止等の多面的機能を継続的、効果的に発揮するため、多面的機能支払事業及び中山間地域等直接支払交付金事業を活用し、農用地、水路、農道等の地域資源の保全管理を実施するために必要な支援を行うとともに、営農再開支援事業を活用し、イノシシ等鳥獣被害対策に取り組みます。併せて、本町の基幹産業である農業の魅力や地域ブランドの情報発信を行い、特産品の販売促進や消費拡大など、地域経済の活性化を図るため、ふるさと納税制度で寄附をしていただいた納税者の皆さまに、広野産特別栽培米コシヒカリや広野産米で造った日本酒等を返礼品として送付し、穂雲頂の魅力をPRしていきます。令和2年度においても返礼品の品数を増やすため、魅力ある商品の発掘に取り組みます。また、ふくしまプライド販売力強化支援事業を活用し、町農産物の価値を伝え、販売・消費の拡大を図るため、物産展等に参加してPRするとともに、秋には収穫祭を開催し、町農産物の積極的な消費を促します。担い手農家への農地の集約を目指し、関係機関と連携して町内7地区のほ場整備事業に取り組みとともに、農地中間管理事業の推進に取り組み、「人・農地プラン」の実質化を図ります。また、農業振興と農業後継者を確保するため、広野町農業次世代人材育成奨学金により、その修学に必要な資金を貸付し、農業経営の安定と優れた農業担い手の確保を目指します。新規企業の誘致と雇用の創出につきましては、広野駅東側第1期開発地区における産業団地や広野工業団地への新規企業の誘致を進めるとともに、除染廃棄物等の仮置き場として土地利用を図っていた東町地区仮置場を産業団地として新たに整備を行い、積極的な企業誘致を推進し、雇用の創出を図っていきます。現在、広野工業団地に17社が進出しており、1社が事業所を建設中、1社が進出を決定、さらに1社が進出を予定しております。今後、操業開始により地元からの採用が大いに期待されます。旧広野幼稚園園舎につきましては、広野幼稚園舎有効活用検討委員会からの提言内容を参考にしながら、(仮称)文化交流複合施設整備事業として、新たなコミュニティの場、町民の憩いの場となるよう整備を図っていきます。

3 未来をつくる事業

子ども子育て支援新制度につきましては、令和元年度に策定した第2期広野町子ども子育て支援事業計画に基づき、町が主体的に教育・保育や子育て支援に関する事業量の確保と質の向上を図るとともに、すべての町民が子ども・子育てへの関心と理解を深め、家庭、学校、地域、職域などのあらゆる場において子ども子育て家庭を支えあうまちづくりを推進します。広野こども園における幼児教育につきましては、次代を担う子どもたちが生涯にわたる人間形成の基礎を培う重要な役割を担っていることから、これまでのALTによる英語教育に加え、遊びの中で主体的に対象にかかわり学ぶことができる「ことばの教育」の導入を図っていきます。児童福祉事業につきましては、児童館において80名を超える児童の入館が予定されており、将来を担う子ども達が、明るく、元気に、健やかに過ごせるよう指導体制も含め環境整備に努めて参ります。東日本大震災及び原子力事故から10年目となり、復興創生期間の総まとめとなる本年、広野町復興計画に掲げる基本理念・目的を達成するため、シンボル事業として位置付けている広野駅東側第2期開発地区における住宅造成を確実に進めていきます。同事業の実施にあたっては、若者世代の移住・定住に重点を置き、土地購入に係る新たな補助制度の確立を図ります。開発地区におけるインフラ整備の費用については、福島再生加速化交付金を初めとした国・県補助金等の活用に努め、町一般財源の負担を少なくする財政運営に取り組みます。広野駅周辺整備について「広野駅周辺整備の基本事項に関する協定」に基づきJR東日本と協議を進めております。3月14日には、常磐線富岡駅・浪江駅間で全線が開通し仙台駅まで繋がることとなり、特急列車の運行も再開することから、これまで以上に交流拠点としての駅利用が求められます。駅構内こ線橋と未来のかけ橋へのエレベーター設置を加速化的に進め、バリアフリー化を図るとともに誰もが安心・安全に利用できる環境を構築します。イノベーション・コースト構想の推進につきましては、双葉地域における廃炉や被災地域の復興を円滑ぬ進めるためには、ロボット技術をはじめとしたエネルギーや農業など多岐にわたる分野における研究開発が実施され、その技術や人材が当地域の産業復興の原動力になると期待されています。本町は、その拠点となる研究施設のバックオフィス的役割を果たし、当地域の復興に弾みを付けるよう取り組んでおります。イノベーション・コースト構想の重点分野については、地元企業や高等学術機関に加えて国際機関など、国際産学官の連携を強化して行く必要があります。浜通りの現状・課題を整理し、技術の実用化及び具体化に向け本格的な事業家を推進するために、専門家をはじめ知見を有する人材を配置し、経営戦略の構築、地元企業とのマッチングやベンチャー企業の創出を積極的に進めていく時期に来ております。このことは、当町に立地する県立ふたば未来学園高校における約500名の高校生が、自立、協働、創造の校訓のもと勉学に励んでおり、浜通りに進出した研究機関や企業の求める人材育成にとっての実学の場として最も重要な位置を占めると確信しています。今後は、より高度な就学の場である大学などの高等教育機関誘致を含め検討するとともに、連携協定を締結している東日本国際大学や福島高専、早稲田大学環境総合研究センターとの取り組みを充実・発展させていきます。まち・ひと・しごと創生総合戦略の取組みにつきましては、「第5次広野町町勢振興計画」及び「第2次国土利用計画」で示す基本理念や将来像と方向性が一致している「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、特に若い世代における移住・定住の促進、交流人口や関係人口に代表される新たな人の流れを町づくりに展開し、産業分野の戦略的ビジョンとして位置付け、広野町らしさを前面に押し出した「広野スタイル創出事業」に取り組んでいます。本年は、その「まち・ひろ・しごと創出総合戦略」の改定時期にあたります。人口減少や超高齢化社会を念頭に、各地域が特色を活かし、より効果的・効率的で持続可能な社会の実現に向けた計画策定を目指します。復興五輪「東京オリンピック・パラリンピック2020」への取り組みにつきましては、3月26日のオリンピック聖火リレー・グランドスタートを皮切りに、復興五輪と位置づけされた「東京オリンピック・パラリンピック2020」への取り組みが始まります。これまでの縁から、昨年にアルゼンチン共和国の「ありがとうホストタウン」に登録し、現在、アルゼンチンナショナルチームの事前キャンプやホストタウン交流を模索しております。また、オリンピック・パラリンピックの期間中に都内で開催される「ホストタウン・ハウス」にPRブースを出展し、町の魅力を発信するととともに、東日本大震災・原発事故によりご支援を頂いた、全国・国際社会の皆さまに感謝の念をお届けするべく積極的に取り組んでいきます。町内インフラ施設の維持管理及び整備につきましては、道路、橋梁、トンネル、下水道施設の点検を実施し、道路や下水道施設の計画的な補修を実施し施設の長寿命化を図り、安全確保に取り組みます。道路整備につきましては、危険個所、未改良区間の解消を計画的に実施し、町民の生活環境の向上を図るとともに、安心安全な道路網を形成し、有事の際の緊急車両の通行及び通勤通学時の安全確保を図っていきます。令和元年の台風19号及び21号に伴う豪雨により道路の路肩崩落や河川の護岸崩落等の災害が発生しておりますが、災害復旧に向け引き続き取り組んでいきます。町内の排水対策については、下北迫浜田地区から前川原地区及び折木田中地区から関の上地区の排水路整備に取り組んでいきます。ふくしま森林再生事業につきましては、上浅見川地域より、間伐などの森林整備と表土の流出を防止するなどの放射性物質対策を一体的に実施し、森林の有する多面的機能の維持と放射性物質の拡散防止を図ることを目的として計画的に取り組みます。令和2年度においては、柴橋、東黒森、南山など、およそ62ヘクタールの整備を目指します。環境対策につきましては、各地区のごみステーションにおいて、指定ゴミを収集日以外に出されている事案や不要となった家電等を空き地や林道敷に不法投棄している事案もあります。これらについては、家庭ごみ収集日カレンダーの配布、広報等によるマナーの周知を行うとともに、環境美化推進員の見回りと広野町安心・安全ネットワーク会議を通じ、関連事業所等への注意喚起に取り組みます。除染対策につきましては、昨年度に引き続き、住民の放射線からの不安払拭並びに生活圏における放射線の状況について情報提供するため、一般家屋及び公共施設の敷地における環境放射線モニタリング調査を実施します。また、東町仮置場にある除去土壌等除染廃棄物は、環境省において全て中間貯蔵施設への輸送が完了していることから、早期に敷地内の原形復旧を行います。教育全般につきましては、これまで実践してきた教育活動を展開しつつ、「広野町幼小中魅力化提言書」を踏まえ、「広野町教育ビジョン」の見直しを図り、ふたば未来学園中学校・高校との連携を見据えながら、広野町立学校独自の魅力の創出を図っていきます。ICT教育推進事業につきましては、新学習指導要領において、「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられた情報活用能力についてプログラミング教育を通して育成するとともに、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、ICT支援員を配置し、本町の教育実態に即したICTの活用に取り組みます。グローバル教育推進事業につきましては、新学習指導要領に掲げられた外国語教育の充実を図るため、学国語指導助手を活用した英語教育に加え、広野中学生海外交流派遣事業を継続して実施いたします。ふるさと創造・映像教育プロジェクト事業につきましては、映像制作を通してふるさと広野町の良さを再発見し、伝統と文化を見つめ直すことで、広野町の未来と地域の復興に貢献できる子どもたちを育成する「ふるさと創造学」を中学1年生から3年生までの3カ年にわたる教育として取り組みます。

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