広野町ゼロカーボンシティの宣言
東日本大震災並びに原子力災害から10年となる3月を迎え、広野町は本年を“ふる里復興・創生「躍進の年」”と位置付け、広野町の復旧・復興を総括し、第2期復興・創生期間となるこの先の10年に向けて、復興・再生から創生へと着実に歩みを進めています。
10年の節目の時期を捉え、双葉地方のエネルギー立地地域の新たな展望に向け、火力発電所を有する町として、世界的潮流となっている地球温暖化防止、二酸化炭素排出の実質ゼロを目指し、新たなエネルギー社会の創出のため、町は「広野町ゼロカーボンシティ宣言」をしました。
広野町ゼロカーボンシティ宣言
広野町は、かつて常磐炭田の北限として炭鉱業が盛んでしたが、昭和30年頃をピークに石炭産業が衰退し、急激な過疎化、財政難に陥りました。昭和46年3月、議会と一体となって「東京電力株式会社広野火力発電所を誘致する決議」を行い、昭和55年4月に1号機、同年7月に2号機が完成、運転開始以降、6号機まで増設を進め関東圏のベース電源である440万キロワットの発電設備を有するエネルギーの町として、町政発展を遂げることが出来ました。令和3年9月には、新たに高効率の新プラントとして期待される石炭ガス化複合発電(IGCC)方式による発電が開始されます。
一方で国際社会においては、地球温暖化がもたらす猛暑や豪雨などの気候変動が世界的な課題として取り上げられ、2015年のパリ協定では、「産業革命からの平均気温上昇幅を2℃未満とし、1.5℃に抑えるよう努力する」目標が広く共有され、「エネルギーの転換、脱炭素化」が世界の潮流となりました。
日本においても、省エネ法の厳格化により非効率な石炭火力発電所の休廃止と再生可能エネルギーを主力電力とする方針が示され、令和2年10月の菅首相による所信表明で、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」が宣言されました。
火力発電所を有する町として、脱炭素技術の開発促進、経済的な合理性、国等の政策との整合性を踏まえ、広野火力発電所の事業者である株式会社JERAをはじめ、町内の立地事業者に協力を呼びかけ、再生可能エネルギーとの相互補完を成し得ながら、持続可能な未来像としてゼロエミッションの追求を共に考え、将来世代に、広野町の豊かな自然と里山、美しい水を守り残すため、2050年までに二酸化炭素排出の実質ゼロを目指し、町民や事業者等と一体となって取り組むことをここに宣言いたします。
令和3年3月5日
福島県双葉郡広野町長 遠藤 智
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